CSPOR-BCニュース

2015年3月

浅暖の候、先生方にはますますご清祥のこととお慶び申し上げます。
平素は、格別のご高配を賜り篤く御礼申し上げます。
進行中の臨床試験の状況やおしらせについて定期的にご連絡をさせていただきます。

ABROAD 試験開始にあたりご挨拶

ABROAD試験 研究代表者 四国がんセンター 乳腺科・化学療法科 原文堅

 時下ますますご清祥のこととお慶び申し上げます.この度,一般社団法人CSPOR-BCとして行う最初の臨床試験である「ABROAD試験:転移性乳がん患者におけるアブラキサン(3週毎投与法)の至適用量を検討するランダム化第Ⅱ相臨床試験」の研究代表をさせていただくことになりました.本試験成功のために,先生方のお力添えを賜りたく,CSPOR-BC NEWSにて試験の内容と熱い思いを述べさせていただきます.本試験の目的は以下の3つです.

1) 転移性乳がんに対する1-2次治療として低用量アブラキサン(180mg/m2 または 220mg/m2)の効果(無増悪生存期間)が現在の適応用量である260mg/m2により得られた効果に劣らないことを探索的に検討する。
2) アブラキサンの投与用量が患者に及ぼす影響として,疾病あるいは治療特異的な症状に着目したPROs,殊に化学療法起因性末梢神経障害や倦怠感,患者の日常生活全般に着目したHRQoLを比較する。
3) 付随研究としてアブラキサンによるCIPNと遺伝子多型との関係を検討する。

 先生方のアブラキサンに対する印象はいかがでしょうか?「しびれがきつい」,「骨髄抑制が起こりやすい」「ステロイド・アルコールフリーで投与できるパクリタキセル」などで,副作用が強いが特殊な状況下で,時々使用しているというものではないでしょうか?

 アブラキサンに関する臨床試験として,2012年のASCOで報告されたCALGB40502試験結果は衝撃的でしたので,記憶に残っておられると思います.パクリタキセル毎週90mg/m2、アブラキサン毎週150mg/m2、イクサベピロン毎週16mg/m2(本邦未承薬)の投与にベバシズマブ2週毎10mg/kgが併用され比較検討されましたが,イクサベピロン、アブラキサンは従来のパクリタキセルに対して優越性を示すことが出来ず、むしろ劣る結果を示したため途中で試験が無効中止となりました。この理由としてパクリタキセル群と比較し、アブラキサン群でgrade3以上の血液毒性、末梢神経障害の出現割合が有意に高く、減量・中止割合が多かったことが挙げられ,アブラキサンの投与量がover doseであった可能性が指摘されました。

 ご存知のように,アブラキサンはアルブミン結合パクリタキセルであり,アルブミンを介して腫瘍への集積性が高まる特性を持っています.従って,もし仮に通常のパクリタキセルと同量の175mg/m2を用いたとしても,抗腫瘍効果は同等以上であることが期待されます.現に,アブラキサン175mg/m2の有効性を検討した単アーム第Ⅱ相CA002-0LD試験では奏効率は39.5%で,減量を要した症例やGrade3以上の末梢神経障害を認めた症例を認めていません.我々のABROAD試験でアブラキサンの適正な用量を検討し,上手に使うことができるようになれば,3週に1度,短時間投与で済む本薬剤は,乳癌再発患者さんにとって大きなメリットになると考えています.もちろん本試験では,CSPORがこれまで得意にしてきたPROs,HRQOLの評価も行い,患者目線での評価も行います.

 ABROADという試験名は,世界で誰も検討していないエビデンスを海外に向け発信し,役立てていただこうという思いを込めています.

 試験を遂行するにあたり,今後様々な困難があるかもしれませんが,先生方のご協力を支えにしっかりと頑張ってまいりますので何卒お力添えの程宜しくお願い申し上げます.

進行中の臨床試験 ― ABROAD試験のおしらせ

試験名:転移性乳がん患者におけるアブラキサン(3週毎投与法)の至適用量を検討するランダム化第Ⅱ相臨床試験
本試験は、既にUMIN臨床試験登録システム(登録ID:UMIN000015516)に登録済みです。
目標症例数:RCT/138
参加施設数(3/1時点):26(前月比+11)
IRB 通過施設数:8(前月比+1)
IRB 申請中:5
実登録施設数:2(+2)

<登録状況>試験開始日:2014年10月
目標症例138症例の達成には、一月あたり6症例の登録が必要です。
施設名 /登録数 (2月)
四国がんセンター 2例 (+2)
北海道がんセンター 1例 (+1)
国立がん研究センター東病 0例 (+0)
相原病院 0例 (+0)
近畿大学医学部附属病院 0例 (+0)
岡山大学医学部附属病院 0例 (+0)
愛知県がんセンター中央病院 0例 (+0)
那覇西クリニック 0例 (+0)
現在、参加申請施設を募集中です。ぜひ、ご検討ください!

<参加申請書を受領した施設 全26施設 2015/2/27現在>
・北海道(2)・東北(2)・北陸(1)・関東甲信越(5)・東海(2)・中国(2)・近畿(9)・四国(1)・九州(1)・沖縄(1)

詳細のお問い合わせは、メールまたはお電話でご連絡ください。ABROAD付随試験についても準備中です。ご施設で倫理審査委員会の審査に必要な資料につきましては、ホームページよりダウンロード(実施計画書、同意説明文書、試験概要説明スライド、その他)もご活用ください

ホームページのご案内: http://cspor-bc.or.jp/index.html
骨BSI試験がまもなく開始されます。4月号では内藤先生よりご挨拶いただきます。
今後ともCSPOR-BCにご支援とご協力を賜わりますよう、何とぞよろしくお願い申し上げます。

このNEWSはご希望の先生方にお送りしております。
ご不明点やご要望等ございましたらお気軽にお問い合わせください。
一般社団法人 CSPOR-BC 試験事務局
事務局本部長 相原 智彦
〒101-0021東京都千代田区外神田2-19-3お茶の水木村ビル4F

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